歯周病と糖尿病
歯周病とは
歯とその周りの病気には歯肉炎と歯周炎があります。
歯肉炎は炎症が歯肉だけに起きている状態ですが、歯周炎は、歯肉炎が進行し、歯肉だけではなく歯根膜、セメント質、歯槽骨などの歯の周囲に炎症が広がり、破壊されている状態を指します。歯肉炎と歯周炎をあわせて歯周病といいます。
歯周病の原因は、ストレスや喫煙、食生活などに加えて遺伝的なものや糖尿病に代表される全身疾患などさまざまです。
糖尿病と歯周病の関係
糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を及ぼします。 歯周病の原因である口の中の細菌は、血糖値が高いと繁殖しやすくなり、糖尿病のひとはそうでないひとと比べて、歯周病を持つ割合が高く、血糖値のコントロールが良くないひとほど、歯周病がさらに進行しやすく重症度が高いと言われています。
逆に、歯周病を持つ人は持たない人と比べて、糖尿病になりやすいことが知られています。最近の研究では歯周病を治療せずそのままにしておくと、糖尿病になったり、糖尿病を悪化させる可能性があることがわかっています。
歯周病が疑われたら
歯周炎は、稀に10歳代で発症する特殊なものもありますが、大部分は35歳前後に慢性的に発症します。
日本での調査では、45~49歳では80%以上に歯周病の所見があったことが知られていますので決して稀なものではありません。
歯周病の一般的な自覚症状は、下記のようなものがあります。
歯周病の一般的な自覚症状
- 歯を磨いたときに出血する。
- 歯がぐらぐら動く。
- 歯がしみる。
- 口臭が強い。
- 歯茎が赤く腫れる。
- 食べ物が歯の間によくはさまる。
このような症状がある場合はぜひ歯科を受診するようにしてください。
血糖が高い状態だと傷が治りにくいために歯の治療に手間がかかる場合があります。
そのため歯の治療前には糖尿病であることを歯科の先生に伝えましょう。
歯周病を持つ糖尿病の人が歯周病への治療を行うと血糖値やHbA1cが下がり糖尿病が改善することがよく認められます。
歯の健康が身体の健康にもつながりますので、きちんと管理しましょう。
歯周病対策
歯周病で歯を失わないためには毎食後と寝る前の1日4回ていねいに歯を磨き、歯間ブラシなども活用してください。
歯石は歯ブラシでは取れないので、定期的なチェックも兼ねて、半年に1回は歯科を受診して歯石を取ってもらうことも大切です。
またタバコを吸うひとは吸わないひとと比べて歯周病になりやすいことが分かっています。
タバコに含まれるニコチンは血流を悪くさせるので糖尿病自体にも悪影響を及ぼします。禁煙を心がけましょう。