脂質異常症(高脂血症)
血液中のコレステロールや中性脂肪といった脂質が数、質が異常となっている疾患です。
本来、コレステロールはホルモンや細胞膜を作るうえで材料になる物質であり、
一方、中性脂肪はエネルギー源となる物質で、どちらも生命活動を行うためにはなくてはならない物質です。
しかし、これらの物質濃度が高い状態が続くと、血管の中に変性した脂肪がたまることで血管が狭くなったり硬くなったりして動脈硬化につながります。
動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞につながり、最悪の場合は死亡してしまうこともあります。
基本的な治療法は、食事療法と薬物療法になります。
心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患や脳梗塞の原因となる高コレステロール血症等については常時1000人以上の方の診療を行っております。糖尿病と同様、生活習慣や遺伝性など様々な原因がありますが、特にLDLコレステロールが180mg/dl以上の方、脂質異常症があり冠動脈疾患の家族歴がある方はご相談ください。
健康診断などで脂質が異常値の結果が出たとしても、閉経前女性や若年者の患者さんの場合、FH(家族性高コレステロール血症)等の特定な場合でなければすぐに薬物療法が必要なケースは多くありません。
脂質低下療法の薬物治療は過去の様々な検討で長期的な安全性は明らかにされていますが、始めるならライフステージを跨ぐ長期的な治療になりますので、飲み薬を開始する時期やそもそも内服が必要かどうか判断しかねるようであればご相談ください。
逆に慢性腎臓病や糖尿病、脳梗塞の既往のある方などは動脈硬化の進行が心配されるため、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)の発症などによる寿命の短縮を起こさないよう食事、運動、薬物といった多面的な脂質管理を大事にしています。
FHの患者さんやすでに冠動脈疾患を発症されている患者さんにはスタチン(LDLコレステロールが主に高い場合の心血管病予防のエビデンスを有する脂質異常症の第一選択薬〉など重用されている薬剤に加え、PCSK9阻害薬は必要な場合に限り適切に使用し冠動脈疾患予防に役立てて参ります。