Faq よくあるご質問

よくあるご質問

  • Q メタボリックシンドロームって?もう少し詳しく教えてください。
    A 今まで脂肪は身体のエネルギーの貯蔵庫と考えられ、肥満は単にその脂肪の過剰な状態ととらえられてきました。ところが近年、特に内臓の周囲にたまる脂肪の細胞から色々な物質が分泌され、身体へ影響を与えていることがわかりました。蓄積された内臓脂肪の細胞から、インスリンという血糖を低下させたり血管の機能に深くかかわるホルモンの効きを悪くさせることで血糖値や血圧を高くさせたり、あるいは血管を硬くさせる、血栓を作りやすくさせる様々な物質が分泌されているのです。
    ここで注目しなくていけないのは、治療の緊急性の低い軽度の血糖値や血圧、中性脂肪値の上昇でもそれらが重なることで心筋梗塞や脳卒中といった動脈硬化性疾患が引き起こされやすくなることです。
    腹囲が男性で85cm以上か女性で90cm以上に該当するのは男性の25%、女性の14%といわれ、特に30歳代以上の男性では約30%に達しています。そしてメタボリックシンドロームの人は、健診受診者を対象としたとき、メタボリックシンドロームではない人に比べて心筋梗塞や狭心症などの発症率が約2倍に上昇すると報告されています。
  • Q メタボリックシンドロームといわれたらどうすればいいんですか?
    A メタボリックシンドロームと診断された場合、どのような治療を行うのでしょうか。残念ながら体重が減り、糖尿病や高血圧、高脂血症も同時に改善させるような夢の治療薬は今のところ開発されていません。しかし血糖値や血圧、中性脂肪を低下させる薬剤の中にはメタボリックシンドロームの中で大きな要素を占める「インスリンの効きが悪くなっている状態(インスリン抵抗性といいます)」を改善させるものがあります。まず患者さんそれぞれの診断基準に該当した項目が薬物療法の適応になるかを判断した上で、これらの薬剤を組み合わせながら一番の源流である過食と運動不足に対して改善するべき点をみつけていくことが大事です。少しの体重の減量でも大きな効果が期待できます。患者さんそれぞれの普段の生活の中に治療へのヒントは隠されています。
  • Q 血糖値が境界型といわれたのですが?
    A 境界型とは、「耐糖能異常」といわれる糖尿病とも血糖値が正常ともいえない状態で、いわゆる「糖尿病予備軍」のことを指しますが、空腹時の血糖値がやや高い状態や、食後の血糖値がやや高い状態などの種類に分かれます。特に注意が必要なのは食後の血糖値が高いタイプです。このタイプはすでに血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌が低下していたり、効きが悪くなっていることが多く、心筋梗塞や狭心症などにかかる危険度は糖尿病の方と比べても差がないため「予備軍」という名前は名ばかりといえます。
    「境界型だから糖尿病ではない」とそのままにせず75g経口ブドウ糖負荷試験による血糖値の状態を把握することをおすすめします。
  • Q HbA1c(ヘモグロビンA1c)ってどういうものですか?
    A HbA1cとは、血液中の酸素を運ぶ赤血球が、血液中の糖分と結合したものをパーセントで示し、その数値が高いほど血液中の糖の濃度が高いことを示します。そのときの状態のみをあらわす血糖値とは違い、HbA1cの測定でおおよそ一か月間の平均的な血糖値の状態を把握することができるため定期的にチェックすることで血糖値のコントロールの目安となり治療の効果の判定に役立ちます。
    日本糖尿病学会では血糖コントロールの目標値として、適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用を起こさずに達成可能な場合に血糖正常化を目指す際の目標としてHbA1c(国際標準値)6.0%未満を、合併症予防の為の目標としてHbA1c 7.0%未満を、低血糖などの副作用やその他の理由で治療強化が困難な際の目標としてHbA1c 8.0%未満をそれぞれ定めています。
    ただし治療の目標は年齢や糖尿病になってからの期間、臓器障害の有無、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定されることも重要です。
  • Q 糖尿病の治療って薬を飲むだけじゃだめなのですか?
    A 糖尿病の治療とは合併症の進行を防ぐことを目的としています。合併症は大血管障害(心臓や脳、足などの比較的太い血管の動脈硬化)と糖尿病特有の細小血管障害(神経や目の中の網膜、腎臓などの細い血管の高血糖による障害で糖尿病の三大合併症といわれています)に大きく分けられますが、糖尿病の人が心筋梗塞になる確率は、糖尿病ではない人と比べて約2~4倍、心筋梗塞の既往がある人が再び心筋梗塞になる確率とほぼ同等と報告されています。
    治療で何よりも大事なのはもちろん血糖値のコントロールであり、食事療法、運動療法、薬物療法の三つの大きな柱によって行なわれます。ただし薬物療法のみに頼ってしまうと、結果として肥満の悪化やインスリンを分泌する力の低下などを起こす危険性があります。合併症の進み具合によっては、運動による網膜症や腎症の悪化、血糖値が下り過ぎるとことにより合併症を進めてしまう危険もあり、合併症の進み具合に応じた療養指導や薬物療法が重要となります。ただ同じ薬を漫然と飲み続けるのではなく、常に合併症の程度を把握しながら血糖値をコントロールしていくことが大事です。
    血糖値以外にも、狭心症や心筋梗塞を起こさないためにのLDLコレステロール(=悪玉コレステロール)の管理や、人工透析の大きな比率を占める糖尿病性腎症を防止するための血圧の管理も非常に重要です。
  • Q 家庭で血圧を測るときどのようなことに気をつければいいですか?
    A 家庭血圧は患者さんの病院外での実際の数値を知る上でとても有用です。
    家庭血圧計には上腕式、手首式、指式などがありますが、上腕式のものが推奨されます。他のものは心臓の高さでの測定が必ずしも行われない、測定される数値も血管の圧迫が不十分になり変動が大きい可能性があることからお勧めはできません。
    測定する条件は朝の排尿後、食前、内服前がすすめられます。排尿前には血圧は高めになり、食後には血圧は低めになる傾向があります。そして降圧薬の服用前に測定することで薬の効果が持続しているかを知ることができます。さらに夜の血圧を測ることで患者さんそれぞれの傾向をとらえることができます。
    測定する回数に明確な基準は現在のところありませんが、複数回測定した場合は全ての数値を記録することが望ましいと考えられます。
    家庭での血圧測定は実際の診療に大きく生かすことができます。すでに降圧薬を服用している方も、そうでない方も家庭での血圧測定によりつねに自己の血圧を把握することをお勧めします。