町田市の内科・糖尿病内科・循環器内科・各種健康診断

仁愛医院

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糖尿病の治療について

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糖尿病の治療

なるべく早期から治療を行うこと。

低血糖や体重増加を起こさないようにすること。

食後の高血糖を改善させること。

膵臓のβ細胞の疲弊を避けること。

高血圧や脂質異常症などのほかのリスクも多面的に管理すること。

近年の研究の結果から、上に述べた5つが、合併症を未然に防ぐために重要であることがわかってきています。糖尿病治療の目標とは、生涯にわたって血糖、体重、血圧、脂質の良好なコントロールを維持することで、糖尿病性合併症(網膜症、腎症、神経障害)や動脈硬化症(心筋梗塞、脳梗塞、足壊疽)を予防し、健康なひとと同様に活動的な日常生活や充実した人生を送り、寿命をまっとうできるようにすることです。

 

~熊本宣言2013から~
熊本宣言2013

2013年に日本糖尿病学会は糖尿病の合併症を防ぐためには「HbA1cを7%未満に保ちましょう」※)と宣言しました。
同時に、適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合や、薬を使っていても低血糖などの副作用なく達成可能な場合は、HbA1cb 6%未満を目指すことも宣言しています。

※)治療目標は必ずしも一律したものではなく、年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定されます。

合併症予防のための目標

 

患者さんそれぞれに合った治療が大事です。

糖尿病は膵臓のβ(ベータ)細胞から分泌されるインスリンの働きが発揮されにくくなる「インスリン抵抗性」と、分泌されるインスリンの量が徐々に不足する「インスリン分泌不全」が原因となって発症します。糖尿病の治療とは、この二つを改善させることを意味し、そのための手段として食事療法と運動療法、薬物療法が存在します。

食事療法ではどのくらい食べればよいのか、何を食べればよいのか、どのように食べればよいのかを理解してください。
運動療法によって身体を動かすことで、糖尿病だけでなく肥満やメタボリックシンドローム、高血圧や脂質異常症などほかの病気も同時に予防・治療することができます。

食事療法と運動療法によっても目標に達することができないのであれば、それぞれの患者さんの病態に応じた薬物療法が必要です。糖尿病の薬物療法は、近年大きな進歩を遂げていますが、漫然とした治療や間違った治療によって低血糖、体重の増加、インスリン分泌能の低下を来す可能性もあります。インスリン作用不足の程度や、合併症の進み具合によって、そのときの状態にあわせた治療を受けることが重要です。常に糖尿病の状態を把握しながら血糖値をコントロールしていきましょう。

食事療法

医師:吉村 中行
  • 全ての糖尿病患者にとって治療の基本です。
  • 適正な食事の量を知りましょう。
  • 三大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)の配分を大事にしましょう。
  • 塩分や飽和脂肪酸の摂り過ぎにも注意しましょう。
  • 食物繊維を積極的に摂取しましょう。
  • 早食いを避け、食べる順番も気をつけましょう。

 

糖尿病治療のための食事とは

医師:吉村 中行食事はすべてのひとにとって生命を維持するために必要なものです。糖尿病のひとにとって血糖値が上昇する理由に食生活は大きな理由を占め、糖尿病と強く関連のある、肥満や高血圧、脂質異常症なども、食事の量やそのなかに含まれる塩分やコレステロール、脂肪酸の量に大きな影響を受けます。食事の量や内容を見直すことはすべての糖尿病患者さんにとって欠かせません。

 

どれだけ食べればよいのか ~適正な摂取エネルギー量の食事~

接種エネルギー量=標準体重×身体活動量

適正なエネルギー量を摂取することによりインスリンの分泌が改善され効果が発揮されやすくなるため血糖が下がります。食事以外にもお菓子やジャム、ジュースなどの清涼飲料水はショ糖を多く含み、血糖や中性脂肪を上昇させるためなるべく減らすことが大事です。

食事を1日1回や2回にする「まとめ食い」は禁物です。食事の回数は1日3回を原則として4~5時間の間隔を空けます。朝は食べないで、昼は簡単に済ませ、夜は宴会でたくさん食べるといった食べ方は、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞に過剰な負担をかけ、糖尿病の悪化につながります。また極端な摂取エネルギー量の制限は脱落率も高く、必要な栄養素の不足にもつながるため勧められません。肥満のひとはまず過剰な分の食事の量を減らして、体重の変化を確認しながら少しずつ摂取エネルギー量を低く設定していきます。

 

健康を保つための栄養素

エネルギーのもととなる栄養素は、まず炭水化物、次に脂質、そしてたんぱく質です。炭水化物をエネルギーの50~60%、たんぱく質を標準体重1kgあたり1.0~1.2g、残りを脂質で摂るようにしましょう。

これは日本人の伝統的な食生活と同じものです。食後の血糖値は主に食事に含まれる炭水化物中の糖質によって変動するので血糖コントロールを行う上で食事中の炭水化物の量を把握するのは大事ですが、極端な糖質制限食は、相対的にたんぱく質や脂質の摂取率が高まるため、長期的に糖尿病性腎症や動脈硬化の進行などが懸念されており、現時点では当院では勧めておりません。

たんぱく質は筋肉や臓器など人体の構成成分のみならず、さまざまな働きをしています。動脈硬化を予防する観点から動物性たんぱく質を控えめにして大豆製品などの植物性たんぱく質が勧められます。

骨や歯などの材料となるのはカルシウムなどのミネラルです。身体のはたらきを正常に保つために、さまざまなミネラルやビタミンが必要です。このためにはできるだけ多くの食品を摂ることが大事です。野菜は1日350gを目標にして食物繊維や多くのビタミンなどの栄養素を摂るようにしましょう。
アルコールは合併症のない場合や肝臓の疾患がなければ禁酒する必要はありませんが飲み過ぎは避け、休肝日を作るようにしましょう。

 

血糖コントロールをよくするための食事

血糖値に影響を与えるのは主に炭水化物ですが、脂質やたんぱく質も影響を及ぼします。

炭水化物にはエネルギーになる糖質とエネルギーにならない食物繊維があります。炭水化物の中の糖質は食べた後、速やかな血糖上昇につながるので、食べ過ぎないよう1回の食事で食べるおよその量を決めておきます。

脂質は、食後しばらくたってから血糖値が上がる原因となります。糖尿病では食事を食べたときに血糖値が上がりすぎないように食べ方を工夫する必要があります。
食物繊維は、ほとんど消化吸収されないので食後の血糖値は上げず、むしろ腸の中での糖質の吸収を妨げ、血糖上昇を抑える働きがあります。

早食いは肥満の原因となるため「ゆっくり食べる」、「よく噛んで食べる」、を意識するようにしてください。

 

合併症を防ぐための食事

糖尿病の治療は血糖値を下げるだけでなく高血圧や脂質異常症などの動脈硬化の危険因子となる病態の予防にも心がける必要があります。そのためには食塩、コレステロール、飽和脂肪酸を摂りすぎないようにして食物繊維を十分に摂りましょう。

 

食塩を減らす

高血圧があると腎症や網膜症といった合併症や動脈硬化が進みやすくなります。食塩の摂り過ぎは血圧の上昇の原因となります。また濃い味の食事は、食欲を亢進させ食事の量の増加につながり、高血圧だけでなく体重の増加などの一因にもなります。
高血圧を合併している場合や進行した糖尿病性腎症(顕性腎症以降)では1日6g未満を目標にします。高血圧がなくても1日10g未満を目標にしましょう。

 

コレステロールや飽和脂肪酸を含んだ食品を控えめにする

脂質異常症があると動脈硬化が進行しやすくなります。脂質異常症の予防や治療にはコレステロールや動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸、マーガリンなどに多く含まれるトランス脂肪酸の多い食品を控えめにして、魚の脂や植物性脂肪に多い不飽和脂肪酸を摂るようにしましょう。

 

食物繊維を増やす

食物繊維には食後の血糖上昇を抑える効果や便通を改善させる効果があり、血中コレステロールの上昇を防ぐ作用もあることから食事における重要な役割を担っています。なるべく多くの(1日20~25g)食物繊維を摂るようにしましょう。

穀物や野菜、きのこ類、海藻類には食物繊維が多く含まれ、糖分や脂質の吸収が遅くなり、食後の血糖と中性脂肪の上昇を抑えます。また食物繊維は吸収されにくいため、胃腸に長くとどまるので空腹感を抑えて、食事の量を増やさないようにするのにも役立ちます。穀物類のなかでも白米や食パンなどの糖分は早く吸収されますが、玄米や麦ごはんなどでは食物繊維が多くなります。

 

「食品交換表」をどう使うか
食費交換表を活用してみましょう

食費交換表の活用例

食事、間食を含めて適正なエネルギー量を食べるようにすると同時に、バランスよく栄養素を配分するためには「糖尿病食事療法のための食品交換表(第7版)」(日本糖尿病学会編、文光堂)(右「食品交換表」)を用いると便利です。

「食品交換表」では、約600品目の食品が主な成分によって6つにグループ分け(穀物類、果物、魚や肉類、乳製品、脂質が多いもの、ビタミンやミネラルが多いもの)をされています。そして食事を80kcalごとに1つの単位として分けて考えるようにします。例えば1日の食事の量が1600kcalであれば20単位を、6つのグループに配分します。グループごとの食品の1単位分の量、重さ(グラム)が書かれていますので何をどれだけ食べればよいのか簡単に把握することができます。

当院では、管理栄養士が医師の指示のもと、それぞれの患者さんに適した量と内容の食事を指導しておりますが、患者さんの希望や必要に応じて「食品交換表」を活用しております。

※「食品交換表」は一般の書店で購入できます。

 

外食するときの工夫

外食や調理済み食品は、一般的に総エネルギー量が高いためカロリー過剰になりやすく、味付けが濃いために塩分や砂糖を摂り過ぎになり、逆に野菜やミネラルなどが不足がちになります。食品やお店によってはエネルギー量や栄養組成を表示しているところもありますが、そうでない場合には把握するのは困難です。普段から食品の量を意識して、摂取カロリーを確認する習慣をつけましょう。

外食の機会が多いひとは食物繊維が不足しやすいため、家庭で野菜や海藻類、きのこ類を積極的に食べるよう心がけましょう。麺類や丼ものなど炭水化物の比率が高く食品の種類が少ないものや、ファーストフードなどの動物性脂肪を多く含むものはなるべく避け、和食などが望ましいと思います。

また「食事を残すことは良くない。もったいない。」と思うことはもちろん悪いことでありませんが、お腹いっぱいになる前に腹八分目を意識して行動に移しましょう。

運動療法

  • インスリンの必要量が減少します。
  • エネルギー消費量が増加して、体重や内臓脂肪が減少します。
  • 筋肉の量が増加して、糖の取り込みが増加します。
  • 高血圧を改善し、血圧を安定化させます。
  • 中性脂肪を減少させ、HDL(善玉)コレステロールを増加させます。
  • 骨密度を増し、骨粗鬆症を予防します。
  • ストレスや不安感を減らし、身体にリラックス効果をもたらします。

 

運動療法を行う意義

定期的に運動をすると、ブドウ糖や脂肪をエネルギーに変えやすくなり、筋肉や肝臓などで、ブドウ糖やその他の栄養素を有効に利用できるようになります。そしてインスリンの働きが高まり、効きやすい身体になることで「インスリンの作用不足」が改善します。その結果、インスリンを分泌する膵臓の負担が軽くなり、効率よく血糖値を下げることができます。

体重の減少がみられなくても運動療法を続けると、血糖値が改善することはよく知られていますが、食事療法と運動療法を組み合わせることで効果が増し、減量が得られれば、血糖値だけでなく、血圧や中性脂肪の低下、動脈硬化を抑制する役割を持つHDLコレステロールの上昇により、生活習慣病全般の改善と心筋梗塞や脳梗塞などの心血管病の予防が期待できます。

 

どんな運動を行うのか

一般的には、強さが中等度で約20~60分にわたって継続できる有酸素運動が勧められます。「有酸素運動」とは、ウォーキング、ジョギング、ラジオ体操、自転車、水泳のような十分に息を吸い込みながら持続的に全身の筋肉を使う運動のことを指します。「中等度の運動」とは、感覚的には「ややきつい」と感じる程度で、「他人とおしゃべりしながら続けられる程度の運動」です。

運動への取り組みをはじめるときは、慣れない運動強度で体調を崩さないように、徐々に運動の強さと量を増やしていくことを心がけ、体調不良を感じたときはすぐに主治医に相談しましょう。けがや事故を防ぐため運動の前と後に、それぞれ5分程度の準備運動や整理運動をするようにしましょう。

運動による血糖値への影響は運動した後12~72時間続きますが、1週間で効果はほとんどなくなるので、週3回以上行うことを継続できるようにしましょう。

適した運動療法とは、そのひとの基礎体力や年齢、体重、生活環境、健康状態などによって大きく異なります。そのひとにあった運動強度をみつけるために、運動中の心拍数を目安にするようにしましょう。

 

運動強度と心拍数

心臓の筋肉が、定期的に収縮と弛緩を繰り返し(拍動)、血液は身体へと送り出されています。この心臓が収縮する回数が「心拍数」で、通常は、1分間に心臓が収縮する回数(拍/分:bpm)を測定します。手首の外側にある動脈に、人差し指・中指・薬指を当てて、1分間の脈拍を数えます(30秒測って2倍して測定することも可能です)。

中等度の運動とは、成人では脈拍数が1分間に120回くらいの運動ですが、60~70歳の高齢者では1分間に100回くらいの脈拍数が目安になります。

 

摂取エネルギー量算定の目安

身長、体重、年齢、身体活動量などを考慮して決定します。

あなたの目安とする運動時の心拍数は

 

ストレングストレーニング(筋力トレーニング)の有用性

最近では有酸素運動だけではなく、ダンベル運動などの筋肉に負荷をかけるトレーニングがインスリンの効果を高める(=インスリン抵抗性の改善)効果や血糖値を下げるといわれています。具体的には、週2~3回、お腹や腕、太ももやふくらはぎなどの主な筋肉を含んだ8~10種類のレジスタンス(負荷)運動を10~15回繰り返す(1セット)ことから開始し、徐々に強度やセット数を増やすメニューが行われます。有酸素運動とレジスタンス運動を、併用することで有効性が高まることが報告されていますし、筋力や体力が向上し、身体についた脂肪が減少することで、気持ちの落ち込みが少なくなり、自分に自信がついたと感じる効果もあるようです。ただし、無理な負荷をかけ過ぎると、心疾患や関節疾患などがある場合、悪化させる恐れもあるので気をつけましょう。

 

150キロカロリーを消費する有酸素運動
ウォーキング ゆっくりペース 45分
はやいペース 35~40分
自転車(平地) 30~40分
ジャズダンス 20分
階段の上り下り 30分
テニス 20分
軽いジョギング 20分
歩くスキー 20分
縄跳び 10分
水中ウォーク 15分
水泳(平泳ぎ) 10分
サッカー 10~30分
ゲートボール 60分
ゴルフ 30~40分

忙しくて運動をする時間がないひとは、歩くことによって使用エネルギー量が分かる機能のついた歩数計は運動量を知るのに役立ちます。これらを使って1日1万歩以上あるいは1日の食事量の1/10以上を運動で消費することを目標にしましょう。

 

運動を避けるほうがよい場合
  • 血糖のコントロールが極端に悪いとき。
  • 網膜症や腎不全など合併症が進行しているとき。
  • 立ちくらみなどの自律神経障害があるとき。
  • 足に潰瘍があるときや潰瘍を起こしやすい病変があるとき。
  • 狭心症や呼吸器疾患の疑いがあるとき。
  • 低血糖を繰り返しているとき。

このような場合は、息をこらえたり、力を込めるような運動、身体に衝撃が加わるような運動は避け、どのような運動が可能か主治医と相談するようにしましょう。

糖尿病の薬物療法 ~2型糖尿病を中心に~

食事療法・運動療法を2~3か月間行っても良好なコントロールが得られない場合(一般的にはHbA1cが7%以上であれば)、内服薬や注射薬による治療が必要となります。

どの薬剤を選ぶかは患者さんの生活様式や年齢、合併症や肥満の程度、インスリン分泌不全やインスリン抵抗性といった作用不足の程度によって変わってきます。そしてそれぞれの患者さんが目標とする血糖値やHbA1cを判断して、内服薬か注射薬あるいはその両方を選び治療します。

1型糖尿病や妊娠に伴う糖尿病、重篤な感染症、全身管理が必要な手術を受ける時などはインスリン療法が必要であり、内服薬による治療は行われません。
内服薬はその作用から6種類に分けられ、患者さんの病態に合わせて単剤で、または複数の薬剤や注射薬と併用して使われます。

糖尿病治療ガイド

内服薬の種類

:商品名とカッコ内は一般名を記載しました。

 

スルホニル尿素(SU)薬

:アマリール®(グリメピリド)、グリミクロン®(グリクラジド)、
 オイグルコン®、ダオニール®(いずれもグリベンクラミド)など

この薬は膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を促進させます。長年にわたり臨床の現場で使われており、その血糖を下げる作用により細小血管障害(神経障害や網膜症、腎症など)を抑制する臨床データが豊富です。

糖尿病と診断されたばかりのひとやインスリンの治療歴がないひとには効きやすいことが知られていますが、一般的にインスリン分泌不全がなくインスリン抵抗性がつよいことが疑われる肥満のひとには効果がでにくいことがわかっています。また長期間使用を続けると、血糖値が次第に上昇してくることがあり「二次無効」といわれています。

インスリンの分泌を持続的に高めるため、副作用として内服薬の中で特に低血糖を起こしやすく、高齢者や腎機能が低下しているひとには注意が必要です。また食事の量が不適切に多いままに内服を続けると体重増加を起こす頻度が多いことも知られています。

 

ビグアナイド薬

:メトグルコ®、グリコラン®など(いずれもメトホルミン)、
 ジベトス®、ジベトンS®(ブホルミン)

この薬は体内のブドウ糖を貯蔵する役割を果たす肝臓から、放出されるブドウ糖の量を少なくしたり、筋肉などを中心とした末梢組織でインスリンが働きやすいようにすることで血糖値が高くなるのを防ぎます。体重増加が起こりにくく、わずかながら中性脂肪やLDL(=悪玉)コレステロールを下げる働きもあることが知られています。
合併症の発症を抑える研究データが豊富であり、経済性にも優れるため欧米では第一に使用される薬として、推奨されています。

インスリンの分泌は促進させないため、低血糖の心配はありませんが、SU薬と併用すると低血糖を起こす可能性があります。副作用として乳酸アシドーシスという重篤な合併症を起こすことが以前に問題となりましたが非常にまれで、現在では安全性が高い薬剤と考えられています。ほかには胃腸障害などが知られています。

 

αグルコシダーゼ阻害薬

:ベイスン®、(ボグリボース)、グルコバイ®、(アカルボース)、
 セイブル®、(ミグリトール)

この薬は腸での炭水化物がブドウ糖へ分解される過程を抑えます。その結果、ブドウ糖の腸への吸収がゆっくりとなり、食後の急激な血糖上昇が抑えられます。この薬だけでのHbA1cや空腹時の血糖値の改善効果は他の薬剤に比べて大きくありませんが、他の薬剤の効果を強めることもあるため、ほかの薬剤との併用に適しています。

この薬を飲み始めると、お腹が張ったり、放屁(おなら)や下痢が多くなりますが、服用を続けることで徐々に少なくなります。また食後の血糖上昇を防ぐため、一般的には毎食直前の服用が必要となります。 この薬を飲んでいる患者さんが低血糖になると砂糖(ショ糖)を摂っても吸収がゆるやかなため、なかなか低血糖が改善しない場合があります。低血糖の時には必ずブドウ糖を飲みましょう。

 

チアゾリジン薬

:アクトス®(ピオグリタゾン)

この薬は脂肪の細胞に作用して、筋肉や肝臓などのインスリンが働く組織に脂肪が蓄積されるのを防ぎ、インスリンの感受性を高めて血糖値を低下させます。脂肪細胞に作用して、肥満やインスリン抵抗性が強い場合に血糖値の改善効果が強いことが知られています。脂肪肝や脂質異常症を改善させることがあり、とりわけHDL(=善玉)コレステロールの上昇作用も認められます。副作用として身体の水分を貯留させる作用があるため、むくみと体重の増加が認められることがあります。

 

速効型インスリン分泌促進薬

:ファスティック®、スターシス®(いずれもナテグリニド)、
 グルファスト®(ミチグリニド)、シュアポスト®(レパグリニド)

SU薬と同様に膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進させますが、効果がより速やかで短時間で消失するのが特徴です。SU薬が食事に関係なく1日1回の服用で、インスリンの分泌を持続的に強めるのに対して、この薬は作用時間が短いため、1日3回の毎食直前の服用で食後高血糖を改善させるのに用いられます。比較的インスリン分泌不全が強くない軽症のひとが適応と考えられています。この薬剤で食後高血糖の改善が不十分であればαグルコシダーゼ阻害薬との併用を考慮します。

副作用として低血糖がありますが、服用方法(食事の直前)をまちがえなければ、SU薬にくらべて頻度ははるかに少ないと考えられています。

 

DPP4阻害薬

:ジャヌビア®、グラクティブ®(いずれもシタグリプチン)、
 エクア®(ビルダグリプチン)、ネシーナ®(アログリプチン)、
 トラゼンタ®(リナグリプチン)、テネリア®(テネリグリプチン)、
 スイニー®(アナグリプチン)、オングリザ®(サキサグリプチン)

食事中の栄養素が胃から小腸に到達するとインクレチンというホルモンが分泌され、膵臓からのインスリンの分泌を促進させます。インクレチンはすぐにDPP-4という酵素によって分解されてしまいますが、DPP4阻害薬は、この酵素の働きを抑えてインクレチンを分解させにくくさせ、その作用を高めて食後の血糖値が改善します。インスリンの分泌を促す薬剤ですが、インクレチンは食後の血糖上昇に伴い分泌されるため、単独の服用では低血糖を起こす危険は低いことが特徴です。ただしインスリンの分泌を強めるSU薬と併用した場合は、稀に重篤な低血糖が生じるリスクがあるため注意が必要です。

 

注射薬の種類

内服薬の治療のほかに注射薬の治療があります。代表的な注射薬はインスリンであり、1921年のインスリンの発見と同時に、糖尿病の治療薬の中ではもっとも長い歴史があります。インスリン以外の注射薬として、小腸から分泌されるホルモンである、GLP-1というインクレチンを薬剤にしたGLP-1受容体作動薬があります。

 

どんなときにインスリン療法が必要か

インスリン療法の適応には絶対的適応と相対的適応の二つがあります。絶対的適応はインスリン療法以外で血糖値のコントロールができない場合を指します。相対的適応は内服薬のみでは血糖値のコントロールを保てない場合あるいは保つ可能性が少ない場合を指します。

絶対的適応
  • 1型糖尿病
  • 糖尿病性昏睡(糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群)
  • 重症感染症の併発
  • 全身麻酔を行うなどの中等度以上の外科手術
  • 糖尿病合併妊娠・妊娠糖尿病で血糖コントロール不良例
相対的適応
  • 著しい高血糖(空腹時血糖250㎎/dl以上、随時血糖350㎎/dl以上)を認める場合やケトーシス(尿ケトン陽性など)を認める場合
  • 内服薬では良好な血糖コントロールが得られない場合(SU薬の1次無効、2次無効など) 重度の肝障害や腎障害を有する例

 

一般的には2型糖尿病のひとで内服薬を使用しても血糖値が下がらない場合はインスリン療法が行われます。

ただし内服薬を使用する前でも体重減少が強い場合、尿のケトン体が陽性の場合、口渇や多飲、多尿などが強い場合などはインスリン作用不足が強いと考えられ、内服薬による改善が期待できない点と、糖毒性が強い状態(高血糖自体によりインスリンの分泌が低下している状態)では膵臓のβ細胞の疲弊を改善できない点から、インスリン療法を行います。

外因性のインスリンを補充することで内因性のインスリンを過剰に分泌する必要がなくなり、疲弊したβ細胞がインスリンを分泌するちからを温存させることができます。

内服薬、注射薬どちらを用いるにしてもインスリン分泌能が保たれているほうが、血糖値をより良く保つことが容易になるため、糖尿病のコントロールが悪いときに一時的にでもインスリン注射を用いて膵臓の疲弊を防ぐことは有用です。

 

どのようなインスリン注射を行うのか

インスリン注射は、食事をとるごとにでるインスリンを補う役割をする追加インスリン製剤と、食事に関係なくでて高血糖になるのを防ぐ役割をする基礎インスリン製剤、その二つが混ざった混合型インスリン製剤の大きく3種類に分けられます。

各種のインスリンの作用のイメージ

追加インスリン製剤には、速効型インスリンと超速効型インスリンが用いられ、基礎インスリン製剤には、中間型インスリンと持効型インスリンが用いられています。混合型インスリン製剤は、追加インスリンと基礎インスリンが混ざったもので、その比率の異なるものがあります。

理想の薬物治療とは、血糖値を正常に保てるための十分な追加インスリンと基礎インスリンが補充されている状態を指します。患者さんの空腹時や食後の高血糖の程度やライフスタイルなどにあわせて患者さんにあったものを選択します。

 

混合型インスリン2回法の作用のイメージ  中間型+即効性インスリンの作用イメージ  持効型+超速攻型インスリンの作用イメージ

最近では、内服薬で食後の高血糖を治療できる薬剤の種類が増えたため、1日1回の持効型インスリン注射と内服薬を活用して、少ない注射回数で良好な血糖コントロールを保つことも可能となってきています。

ただし2型糖尿病であっても内因性のインスリン分泌能が著しく減少している場合には、3回の追加インスリンと1~2回の基礎インスリンを注射する強化インスリン療法が行われることもあります。

 

どのように注射するか

市販されているインスリンは、作用時間ごとに色分けされています。

インスリン製剤1 インスリン製剤2

 

ペン型の注射器には3.0mlのインスリンが入っています。薬液1mlあたり100単位のインスリンが含まれています。インスリンは遺伝子工学の手法でつくられたヒト型インスリンが使われ、健康なひとのインスリンと同じ構造です。ただし超速効型および持効型インスリンはヒト型インスリンの構造を一部変えることで、作用時間を早くしたり延長させたりしています。

注射はおもにお腹と太ももの皮下に行います。患者さんによっては注射する部位によって効き方が異なることがあり、注射する部位はあまり変えないようにします。ペン型の注射器の場合には、使い捨ての専用の針をつけて、ダイヤルの目盛りであらかじめ決められたインスリンの量を設定して注射します。インスリンの注射で用いられる針は太さが約0.2mmと採血などで使われる針よりもはるかに細いため、痛みはほとんどありません。

 

GLP-1受容体作動薬

GLP-1受容体作動薬は内服薬のDPP-4阻害薬とともに「インクレチン関連薬」といわれている薬剤です。食事中の栄養素が胃から小腸に到達すると、GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)などのホルモンが分泌され、膵臓からのインスリン分泌が促進されます。膵臓のβ細胞にはGLP-1に対するカギ穴である受容体が存在します。GLP-1受容体作動薬は体内のGLP-1と同じようにβ細胞の受容体に作用して、インスリン分泌を促進させて血糖値を低下させます。

血糖値を下げる効果とともに期待できる効果として、患者さんそれぞれに個人差があるものの体重の減少効果があります。

単剤で用いた場合は、低血糖のリスクはほとんどありませんがSU薬と併用した場合は低血糖が起こることがあるため注意が必要です。

副作用として嘔気や下痢、便秘などの症状がみられることがあります。

低血糖の症状とその対処

  • 血糖値が低くなり過ぎた状態をさします。
  • 身体が必要とするインスリンの働きが過剰な状態になった時に起きることがほとんどです。
  • 低血糖には「警告症状」と「中枢神経症状」があります。
  • 低血糖を感じたら速やかに糖分を摂取しましょう。
  • αグルコシダーゼ阻害薬を服用しているときはブドウ糖が必要です。

 

なぜ低血糖になるのか

低血糖とは、血液中のブドウ糖が少なくなり過ぎた状態を指します。一般的には血糖値が70㎎/dlを下回った状態をいいます。

低血糖は、身体が必要とするインスリンの働きが不釣り合いに過剰であった状態に起こることがほとんどで、インスリン分泌を刺激する薬剤やインスリン注射の働きが多すぎた場合、食事の量が少なかった場合、運動などインスリンの効きがよくなった場合などに起こります。

 

低血糖の症状

低血糖の症状は血糖値の低さの程度に応じて現れます。はじめは異常な空腹感、だるさなどが生じますが、気づかないこともあります。その後、冷や汗や動悸、震え、悪心などの自律神経症状が現れます。

これは血糖が低い状態を身体が感知して血糖を上げるためのホルモンが体内から分泌されるからです。これらの症状は重い低血糖の前の比較的軽い低血糖で起きるため「警告症状」とも呼ばれます。このときに対処すれば重い低血糖発作を回避することができます。

さらに血糖値が下がると、ブドウ糖をエネルギー源とする脳の神経細胞の働きが低下し、眠気やめまい、脱力感、集中力の低下や物が見えにくいなどの精神神経に関連する症状が現れます(中枢神経症状)。

この状態よりもさらに血糖値が下がると痙攣や意識障害、昏睡などが起こり、数時間以上続くと生命に危険が及んだり後遺症を残すことがあります。

 

どのようなときになりやすいか

インスリン分泌を刺激する内服薬やインスリン注射で治療をしているひとは、次のような時に低血糖を起こしやすくなります。

  • 食事の量が少なかったり、食事時間がずれたり、決められた補食を食べなかったとき。
  • 運動量や労働量が多すぎたとき、空腹時や薬剤の効果の大きい時間帯に運動をしたとき。
  • 薬剤の量を増やしたときや服薬や注射をする時間を変更したとき。
  • 鎮痛剤や一部の不整脈への薬などほかの薬やアルコール類を飲んだとき。
  • ホルモンの変化により月経がはじまったときに起こりやすくなることがあります。

 

無自覚性低血糖とは

低血糖が起こっても警告症状が現れずに、低血糖に気づかないことがあります。これを無自覚性低血糖と呼びます。

低血糖を繰り返し、血糖が低い状態に体が慣れてしまった場合、糖尿病による自律神経障害や一部の不整脈への薬などを飲むことによって症状が出にくい場合があります。

低血糖にならないように薬剤の量を調整することや生活習慣を工夫することで本来の低血糖症状へ戻すことができます。

 

低血糖になったときの対処法

低血糖の症状を感じたときは、がまんせずに早く対応しましょう。ブドウ糖か砂糖10~20gをすぐに摂りましょう。普段からブドウ糖を含む製品や砂糖をバックや引き出しなど手の届く場所に用意しておくとよいでしょう。清涼飲料水やジュースを200~350ml程度飲むことも有効ですが、商品に含まれる甘味料の種類によっては血糖があがりにくいものもあるので事前に確認しましょう。

糖分を摂った後は症状が回復するまで安静にしましょう。ふつうは15~20分程度でおさまりますが低血糖の程度によっては繰り返すこともあるため、そのあとに炭水化物を多く含む食品(チョコレートやビスケット、おにぎりなど)を摂ると安心です。
脱力が強い場合など自分で対応するのが難しい場合は、周りのひとに砂糖やジュースなどを口に入れてもらう必要がありますが、眠気が強かったり、意識状態が普通と違う場合は、むせたりする危険があるため、救急車など危険のない手段で最寄りの医療機関を受診し、ブドウ糖の注射を受ける必要があります。

 

Aグルコシダーゼ阻害薬を服用している場合

血糖降下薬のひとつであるαグルコシダーゼ阻害薬は単独で使用した場合に低血糖を起こす可能性は極めて低いですが、インスリン分泌を刺激する薬剤やインスリンを併用した場合は低血糖を起こす可能性があります。

この場合、腸管での砂糖の吸収が抑えられているため砂糖ではなくブドウ糖の摂取が必要です。