町田市の内科・糖尿病内科・循環器内科・各種健康診断

仁愛医院

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糖尿病が長く続くと

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合併症と治療の必要性

糖尿病を適切に治療せずに「高血糖状態」のままで放置すると、別の症状や病気が引き起こされます。

糖尿病の代表的な合併症

 

これを合併症といいますが、主なものを挙げると次のようなものがあります。

細小血管障害 細い血管の病気である眼(網膜症)、腎臓(腎症)、神経(神経障害)の合併症。
大血管障害 太い血管の病気である動脈硬化による脳卒中、心筋梗塞や足病変。
感染症 高血糖により免疫が低下して起こる合併症。

 

細小血管障害は糖尿病に特徴的に起こる代表的な合併症です。網膜症は進行すると視力障害に、腎症は腎不全に至ることがあります。目の奥にある網膜の細い血管や、細い血管の集合体である腎臓に障害が出現し、進行すると最終的には失明や腎不全となり、人工透析が必要になります。また細い血管の障害は神経にも起こり、足の神経に障害をもたらし、しびれや痛み、感覚の麻痺などがでてきます。進行すると夜も眠れないほどの痛みや、足の潰瘍の原因となります。最近の研究では、

糖尿病性網膜症による失明者は
年間3,000人以上
→ 新規失明者の約18%
糖尿病性腎症による新規の透析導入者は
年間16,000人以上
→ 新規透析導入の約44%
糖尿病足病変による下肢切断者が
年間3,000人以上
→ 全切断患者の40~45%

と報告されています。

心筋梗塞や脳梗塞などの大血管障害は糖尿病に限らず起こりますが、糖尿病があるとさらに進行しやすく、生命予後が悪いことが知られています。

血糖値が高いと身体の免疫能が下がり抵抗力が落ちるため、肺炎、結核、尿路感染症や足の壊疽などさまざまな感染症が引き起こされやすくなります。

合併症を防ぐには

合併症を防ぐには、血糖値を下げて良好に保つことが大事ですが、血糖だけでなく血圧、コレステロールや中性脂肪などの脂質にも目を向けて管理していくことが重要です。合併症の発症や進行状況は患者さんによって異なりますが、合併症はある程度進行してしまうと、治療を受けても進行を止めることが難しくなるためです。

「今の時点で症状が何もないからあとで治療をすればよいだろう」と先送りをすることは、残念ながら現在の医学では糖尿病には通用しません。

なるべく早期にコントロールを!

近年の研究では、糖尿病を発症してすぐにきちんと血糖を下げたひとと、下げなかったひとを比べると眼や腎臓などの細小血管障害はもちろんのこと、脳梗塞や心筋梗塞といった大血管障害の発症率や、死亡率にも明らかな差があることがわかり、なるべく早期にきちんとした治療を受けると、合併症を持続的に抑制できることが知られてきており、このことはLegacy effect(レガシーエフェクト:遺産効果)と呼ばれています。

また糖尿病になってからの期間が長く、血糖値が高かったひとに厳格に血糖値を下げる治療を行っても、細小血管障害の発症や悪化は抑えられるものの、心筋梗塞などの大血管障害の発症を抑えることができなかったという結果が、最近の複数の研究で示されています。

つまりどの程度の高血糖状態が続いたかによって、のちのちに合併症を起こす確率や糖尿病の状態が大きく変わることを示しています。そのため早期からしっかりと糖尿病をコントロールすることが患者さんの利益になることがわかっています。次にそれぞれの合併症について説明します。

神経障害

糖尿病のひとに最も多い合併症のひとつで、糖尿病を発症して比較的早期から起こります。高血糖状態が続くと、インスリンがうまく作用しなくなりブドウ糖が利用されないため、ポリオールという別の物質に変えられ神経に蓄積してしまいます。また神経に血液を送る細い血管も障害され発症すると考えられています。よく見られる神経障害は、手足の感覚や運動をつかさどる神経が障害される「末梢神経障害」と内臓のはたらきを調節する神経が障害される「自律神経障害」に分けられます。

 

末梢神経障害

末梢神経は痛みや冷たさなどを感じたり、手足を動かす指令を出す神経で、身体のすみずみまで広がっています。障害が起こると、砂利の上を歩くような違和感や、正座をしたあとのようなしびれなどの症状が出現します。悪化すると「刺すような」あるいは「焼けるような」痛みが出現します。軽い場合は血糖値を下げることで改善がみられますが、血糖値が高い状態が続くと、夜間に眠れないほどの痛みが足を中心に現れることもあります。

また感覚が麻痺して痛みなどを感じにくくなるため、狭心症や心筋梗塞の症状が自覚されずに重症化したり、足に出来た小さな傷や靴擦れなどの痛みに気づかなくなり、足の潰瘍の原因になることもあります。

 

自律神経障害

自律神経は、その名の通り自分の意思と関係なく動いている胃腸や血圧、排尿などの調節を行っています。全身に分布して様々な役割を持つため、自律神経に障害が起こると、全身に異常が起こるため、立ちくらみ(起立性低血圧)、胃のもたれ(胃不全麻痺)、尿の出が悪い(膀胱機能障害)、ED(勃起障害)、頑固な便秘や下痢、発汗障害などさまざまな症状が出現します。また自律神経障害が重症になると低血糖に気づかないこともあります。

網膜症

糖尿病では視力障害が起きやすくなります。眼をカメラに例えると、レンズにあたる水晶体が白く濁る「白内障」も糖尿病では頻度が増えますが、糖尿病の眼の合併症として重要なのは、カメラのフィルムにあたる網膜を栄養する血管に障害が生じる網膜症です。血糖コントロールが悪く、その期間が長くなると網膜症は進行します。進行の程度は3段階に分けられます。

 

糖尿病網膜症の進行段階
正常な網膜 単純網膜症 増殖前網膜症 増殖網膜症
→
正常な網膜
単純網膜症
増殖前網膜症
増殖網膜症
眼の状態
  • 網膜の毛細血管がもろくなります
  • 点状及び斑状出血
  • 毛細血管瘤
  • 硬性白斑(脂肪・たんぱく質の沈着)
  • 軟性白斑(血管が詰まってできます)
  • 軟性白斑が多くみられます
  • 血管が詰まり、酸素欠乏になった部分がみられます
  • 静脈が異常に腫れて、毛細血管の形が不規則になります
  • 新生血管が硝子体にみられます
  • 硝子体出血
  • 増殖膜の出現
  • 網膜剥離
  • 失明に至ることがあります
自覚症状 なし なし
  • 視力が極端に低下します
  • 黒いものがちらつきます
  • ものがぶれてみえます

 

単純網膜症

網膜の細い血管(毛細血管)の一部に小さな瘤(毛細血管瘤)ができたり、血管から血液がしみ出た点状の小さな出血が起こります。しみ出した血液の成分による白斑といわれる所見が認められます。この段階では視力に影響はありませんので、眼底検査を行って網膜のを観察しない限りはわかりません。

この段階で血糖値を下げてコントロールを良好に保てば改善が期待できます。

 

増殖前網膜症

単純網膜症が悪化すると、血管が詰まり、血流が低下した部分がはっきりと眼底検査で確認できるようになります。出血も進み、視力の低下が始まります。ただこの段階になると、血糖のコントロールだけでは改善させるのは難しくなり、光凝固術と呼ばれるレーザー光線で詰まった結果や出血した部分の網膜を焼いて進行を食い止める治療を行います。

 

増殖網膜症

さらに進行して血流の低下が強まると、網膜に酸素が十分に供給されなくなり新生血管と呼ばれる新しい血管が血流の低下した部位に出現します。新生血管はもろいため、簡単に破れて「硝子体出血」といわれる大きな出血の原因となります。さらに網膜の一部がはがれる「網膜剥離」まで進行すると、視力は高度に低下し、場合によっては失明に至ります。治療は手術が中心となります。

腎症

腎臓は細い血管が集まっており、内部の糸球体と呼ばれる毛細血管の塊が、フィルターの役割を果たして血液をろ過して、老廃物を尿として体外へ出します。高血糖状態になると、糸球体の血管の壁が厚くなり、糸球体の中の血圧が高くなります。この状態が持続すると血液をろ過する機能が低下するため、尿の中にたん白が漏れ出し、腎臓の機能の低下がだんだんと進行していきます。
腎機能が低下すると、血圧が上昇し、尿中のたん白が増加してむくみが出現します。さらに悪化して腎不全の状態になり、体内の老廃物が蓄積すると尿毒症を引き起こし人工透析が必要となります。進行に最も影響を与えるのは血糖値ですが、高血圧も腎症を悪化させる重要な原因となります。
糖尿病性腎症の進行の程度は、尿中に出るたん白(主としてアルブミン)の量と、GFRという腎臓の血液をろ過する機能の程度によって1期から5期までに分けられています。

 

病期 尿アルブミン値(mg/gCr)
あるいは
尿たんぱく値(mg/gCr)
GFR(eGFR)
(ml/分/1.73㎡)
第1期(腎症前期) 正常アルブミン尿(30未満) 30以上
第2期(早期腎症期) 微量アルブミン量(30~299) 30以上
第3期(顕性腎症期) 顕性アルブミン尿(300以上)
あるいは
持続性たんぱく尿(0.5以上)
30以上
第4期(腎不全期) 問わない 30未満
第5期(透析療法期) 透析療法中  

2013年12月糖尿病性腎症合同委員会より引用

 

腎症の進行を予防するのにもっとも重要な時期は第2期の「早期腎症期」です。この時期は自覚症状もなく尿中のたん白が少ないため、一般的な尿検査でもたん白が陰性と判断されることが少なくありませんが、尿中の微量のアルブミンを測定することで早期に発見することができます。

この「早期腎症期」までは血糖値と血圧のコントロールによって、腎症を改善させられることが分かっています。

むくみなどの自覚症状が出るのは第3期以降の病期であり、この時期を過ぎるとたん白制限食など血糖と血圧のコントロール以外の治療もおこないますが、腎機能の低下に歯止めをかけるのは難しくなります。糖尿病性腎症は10年以上の長い期間をかけて進行するため、定期的な尿中アルブミンの検査を受けることが重要です。

大血管障害(動脈硬化)

動脈硬化とは、血管の壁が弾力性を失って硬くなり、血管の内腔に脂質を多く含む「プラーク」と呼ばれる壁が厚く盛り上がる病変がつくられ、血管の内部が細くなったり、詰まりやすくなった状態を指します。年齢を重ねるとある程度の動脈硬化は起こりますが、特に血液中のコレステロール、中性脂肪が多い脂質異常症の場合に進行が認められます。

動脈硬化と関係が深いコレステロールはLDLコレステロールとHDLコレステロールです。過剰なLDLコレステロールは、血管の壁に取り込まれ「プラーク」の一部となり、直接的に動脈硬化を促進するため「悪玉コレステロール」と呼ばれます。逆にHDLコレステロールは血管壁などの余分なコレステロールを運び去ることで動脈硬化の進行を抑えるため「善玉コレステロール」と呼ばれます。このためLDLコレステロールが多いほど、HDLコレステロールが低いほど動脈硬化が進行しやすくなります。
脂質異常症に糖尿病や喫煙、高血圧などの他の危険因子が重なると、動脈硬化は著しく進行しやすくなります。また食後高血糖が強いひとは、動脈硬化が悪化し大血管障害を起こしやすいといわれています。

 

脳卒中

脳卒中は脳の血管が詰まる脳梗塞と、血管が破れる脳出血に分けられます。糖尿病のひとに多いのは動脈硬化による脳梗塞です。症状は血管が詰まる場所によってさまざまですが、手足の麻痺が起きたり、呂律が回らず言葉がしゃべれなくなったり、物が二重に見えたり、意識を失って倒れたりします。重症の場合は生命にかかわります。また脳梗塞に至らずとも、脳血管の動脈硬化が進むと、認知症を発症したり、怒りっぽくなるなどの性格変化がみられることもあります。

脳梗塞を発症すると、生命にかかわるのはもちろんのこと、一度起こした症状は完全には治らないため、麻痺や言語障害のために日常生活が大きく制限されてしまいます。脳卒中になってからではなく脳卒中にならないように心掛けて治療を行うのが重要です。

 

狭心症・心筋梗塞

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしています。心筋梗塞は、心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠動脈が動脈硬化で詰まってしまい起こります。その結果、心筋に血液が供給されず、心臓の働きが著しく低下して心不全を発症したり、致死性の不整脈が出現したりするため生命にかかわります。

狭心症は、冠動脈の動脈硬化により血管の内腔がプラークにより狭く細くなったり、痙攣して一時的に必要な量の血液を心筋へ送れなくなる状態を指し、心筋梗塞の前触れであることもあります。この二つをあわせて「冠動脈疾患」と呼び、予防と早期の診断と治療が何よりも大事です。

一般的には胸が締め付けられるような激しい痛みが症状として知られていますが、 糖尿病のひとでは合併症の神経障害により痛みを感じづらくなり、はっきりとした症状が現れにくいために見つからずに進行しやすいことがあります。また比較的太い血管から細い血管まで広範囲に障害されやすいため、診断された時には複数の血管に病変がある場合や、心不全を起こすほどに心機能が低下している場合もあり、重症化しやすく予後が悪いことが糖尿病の冠動脈疾患の特徴です。

予防と早期診断のため、定期的な心電図検査と血糖の管理に加えて、血液中の脂質を正常に保ちましょう。また喫煙は動脈硬化を促進させるので禁煙も重要です。もし胸に症状がある場合は主治医に相談し、必要があれば運動負荷心電図検査や冠動脈CT検査など必要な検査を早期に受けるようにしましょう。

 

足の動脈硬化(閉塞性動脈硬化症・末梢動脈疾患)と壊疽

血管は、心臓から遠く末梢にいくほど細くなるため、糖尿病のひとでは足の動脈硬化を起こしやすくなります。進行すると、歩いているときに十分な血液を送れなくなるため、足やふくらはぎが張ったり痛くなったりという特有の症状が出ることがあります。これを「間欠性跛行」と呼びます。

さらに進行すると、神経障害によって小さな傷などが起きやすい状態に、足先から血管が詰まるなどの血流低下が加わると、足の一部が腐る「糖尿病壊疽」を起こすことがあります。

また足の動脈硬化のあるひとは、同時に狭心症や脳の動脈硬化を起こす頻度が多いといわれています。間欠性跛行がある場合や、糖尿病だけでなく脂質異常症や喫煙歴のあるひとは早期に検査を受けましょう。当院では脈波(PWV、ABI)検査と下肢血管エコーにより早期診断を心がけています。

感染症

高血糖の状態が続くと、身体に入った菌を殺す白血球の働きが弱まり、菌の栄養素となる糖分が血液中に多くなります。この結果、菌が繁殖しやすくなるため感染症にかかりやすく、一度かかると治りにくいという特徴があります。

起こりやすい感染症として肺炎や胆のう炎、腎盂腎炎などの頻度が高く、結核も糖尿病でないひとと比べるとかかりやすいことが知られています。感染症と糖尿病はお互いに悪影響を及ぼすため、感染症が重度の場合は、血糖値は上がりやすくなり、インスリン療法によって血糖値をしっかり下げながら、十分な抗生物質の投与などを行わないと改善が難しい場合もあります。

また細菌以外にも、インフルエンザをはじめとしたウイルス感染症、水虫やカンジダといったカビの一種である真菌感染症にも注意が必要です。特にインフルエンザは糖尿病でないひとと比べて、肺炎を起こすなど重症化するリスクが高いため、禁忌に該当しない方はワクチンの接種が推奨されています。

定期的な検査と治療を

糖尿病の合併症は進行すると、現在の医学では元通りに回復させることはできません。近年の治療の進歩によって、単純網膜症や糖尿病性腎症2期といった早期の合併症は、血糖値や血圧のコントロールによって改善が期待できますが、眼底出血や網膜剥離、腎不全に至った場合は改善することは難しく、脳卒中による麻痺を起こした場合や下肢を切断した場合も同様です。一度糖尿病と診断されたり、「血糖値が高い」といわれたなら「自分は大丈夫」と目をつぶらずに、検査を受けたり治療を続けることが何より大切です。そうすることで合併症が予防され、健康な生活を継続することができます。